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almost_blue’s diary

私について

言葉を尽くしてようやく伝わったものは

彼が当初彼女に伝えたかった思いとは少し違ってしまっている。だけど彼女はようやく心に沁みたみたいで彼をそんな目で見つめてキスなんかしちゃう。彼さえも最後はムードに全部持っていかれて気づいていない。こうして男と女は常に掛け違いを繰り返します。星がよく見える丘では勿論街の夜景も見えて迷子の子犬は心細いから余計か細い声で吠えてみるのですが、街を囲う様に救急車とパトカーがサイレン鳴らして走り回っているので彼の声は誰にも届きません。丘の芝は気持ちがいい匂いがする。隣に君がいればなぁ、僕はここでずっといてもいい。こんな虚しい場所でだよ!?

君がいればいい。君が……

 

回り込んでくる外車のヘッドライトが嫌に眩しい。それを背に地下に入っていく紳士。それは螺旋階段になっていて、殆ど出来そこないの蟻の巣みたいにどこにも繋がらず、一番下まで降りていくと折り返してまた登っていきます。

距離的には殆ど動いていないのに折り返した先は誰かのコテージの中に繋がっていた

コテージからは一歩も外には出られない様になっていた窓ははめ殺し、勝手口のドアノブはノブがバカになっていて幾らでも回り出す。

このコテージはどうやら断崖絶壁に立ってるみたい。下は海だ。辺りをカモメが飛んでいるし風がやけに強い。何より窓の景色がそう言っている。コテージ内にはランタン、猟銃、書棚、クローゼット、シングルベッド、シンクがある。しばらく待っていたが誰も来なかった。又、引き返して螺旋階段を降りる事にした。一番下まで降りてる最中に別の地下入り口から降りてくる男に話しかけられた。「そこはどこに繋がってましたか?」「○○○○○○○」

「私は忘れていないから大丈夫だと思います。これがラストチャンスなのでヘマはしないようにしたいと思います」

「さようなら」

「さようなら」

 

私は、私が折り返した地点よりもどんどん下に降りていく蟻君を見下ろしながら自分の折り返し地点を目指したのだった