あそこ

変な言葉です。何故だか私の、とか俺の、と前に付いた場合、それは全ておへその事をさしている気がしてきます。しかし、出べその人の場合はまた違う意味合いになってきます。何故なら、出っ張っているならその時点でそこはあそこでもおへそでもないのです。そんなもんはただの腹立たしい出べそです。この場合私の、俺のあそことは顔面以外にある大きめのほくろ、3針以上の縫い跡、切り傷跡、その他外傷による跡の事を指す。決して陰部ではない。陰部の事は女性なら私のたわんだひし形で男性なら俺の彼らたちになる。

ホテルの廊下にて

後ろ手を組んだ女がその手先で狂った呪文をやる。

あの女はわたしから離れてどんどん先を歩いて行ってるはずなのに背面のままでこちらににじり寄ってくる気がしている。

きっとあの手の動きのせいだ。

人を落ち着かなくさせる。

こわい、こわいぞ。

と、急に女は手を勢いよく振りほどくや否やその場で垂直にスキップをした。

右手と右足を前に

左手左足は後ろに

そのままの形で軽く宙を見上げたまま女は宙で止まった。つまり浮いている。

そのようにこちらからは見える。

 

女の先には白い光が絶え間なく続いている。青空と白雲が壁紙のように切り取られた白い光の扉の端で違う時限の流れの中へ斜めに飛んでいった。

女はどこへ行きたかったのか。

私はその扉形に切り取られた白い光が溢れる世界から漏れる強い風の音を直に耳に聞いた。

女の顔は正面から見てはいけない気がしたから、私はしばらく途方に暮れていたのだった。

 

夢を解くヨセフ

インドに到着して船着場のウッドデッキ?のような場所に腰を下ろした私がいる。何故か膝の上には実家で飼っている犬もいる。わたしは近くにいた現地の女(アジア系だがインド人ではない)にスリナガルまでの行き方を尋ねようとすると、まずは君のバックの中身を点検させてほしい、と言われた。薬物を持っていないかの検査らしい。僕は早速、インドのペースに乗せられそうな気配を感じたので、あえて強気に、もちろん、一向に構わないですよ。と言い、その言葉尻からまくし立てる様に、誰も頼んでいないのにインドへ来た経緯を上機嫌に私は話し始めた。女は少し怯んだ。異国ではちょっと変な日本人だと思わせれば勝ちだと思っている。実際、一人旅なのだから日本に住んでいる誰に何を思われるでもない。

荷物を一通り出しながら、ここへ来た事を家族の誰にもまだ言っていない事に思い当たる。(わたしが実家から連れてきた覚えは全くないのだが)犬が居なくなっていると母が慌てると困るので、直ぐに電話した。

夢は一旦ここで終わる。

 

しかし、さっきみたこの夢はよく考えると入れ子構造の夢だった。

インドにいたわたしは母と電話を繋いで事の経緯を報告している。母は随分驚いている。という一連のストーリーをわたしは第三者として夢で良かったと思いながら観察している。そして、その後に母は姉にその事を知らせる電話をやる。

僕とインドの水先案内人は姉だったので母がこの事を真っ先に姉に知らせるのは当たり前だった。しかし、母が電話を繋いだ先の姉の居場所が日本なのかインドなのか分からないという印象をわたしは夢の中で受けた。どうやら、インドに来てるみたいだから色々と便宜を図ってあげてね的な話をしていた気もするし、横浜の家で子育てをする主婦の姿で電話を受け、単純に僕の行動に驚いてはいるが、こっちにも慌ただしい生活があるのよと言わんばかりの少しよそよそしいリアクションに留まった、そんなやり取りだった様な気もする。

 

この夢日記をまたつけるようになってから毎日夢を見るし、見たことをちゃんと覚えて目を覚ますようになった。そして今しがた見た夢は入れ子構造で明晰夢に近いものだと感じた。

夢日記②

二つ見た方の後の方。

 

小学校の時に一緒にヤンチャした友達、浅井君の家に知らない女と来ている。しかし、この家には見覚えがない。当時の浅井君の家は少し変わっていて間取り図で言うと広いワンフロアで、横に長く婉曲したピザみたいな形をしていたのだが、夢の中の浅井君の家は新婚夫婦が住みそうな取り留めのないマンションの一室といった感じ。

僕は何故かそこを自分の家だと称して女を招いていた。女は部屋について好意的な感想を述べた。その言葉尻を掴んで僕は部屋の中を案内して回った。僕は女があんまり感心するものだから、得意になっていたようで、奥のキッチンについて一人で長話をしている内に女は居なくなってしまった。

玄関の方に行くと女と男の話し声。どうやら丁度、玄関のドアの切っ先で二人は話し合っているらしい。察するに女はどうしてか分からないが急に私の家から退散する事に決め、部屋を出かかった所で男に見つかった様子だった。話しは熱を帯び口論になり押し問答の様相を呈してきた。

その口ぶりから男は女の彼氏であるらしかった。程なくして女の抵抗を押し切って男が入ってきた。私は廊下の先の、キッチンの陰から様子を伺っていたがドアが開く音がするや否やベランダに逃げた。簡単に言うとこれは修羅場というやつだ。間違いない。誤解だろうが純な経緯があろうが鉢合わせれば問答無用で荒々しく殴られる事請け合いなのだ。今は男と会わない方がいい。

そうしてしばらく息を潜め聞き耳を立て様子を伺っていた。男は相当怒っているらしく家の中を荒らしてまわりながら女の言葉にかぶせるように怒号でねじ伏せ最後には私の名前を叫ぶのであった。

私は段々部屋をめちゃくちゃにされるのに我慢ならなくなってきた。ここは何より浅井君の部屋であり後で怒られるのは私だ。こんなどこの馬の骨かも分からぬ、どうせちんちくりんな女と付き合っている男だ、私より歳下であろうし、大した男ではあるまい。とりあえず、部屋はもう取り返しがつかない程荒らされている、浅井君に示しをつけるためにもこの男を逃すわけにはいかない。

私は覚悟を決めベランダから部屋に入る。男は暴れまわって疲れたのかリビングに転がった旧型テレビの上に座り込んで、隣で宥める女に向かって愚痴を吐いていた。私は男の注意を引かないように摺り足でリビングまで行き、いきなり目の前に現れ男にこう言った。

ここは、誰の家か承知か?

なんだ、いやがったのか。家、、知らんけども。

浅井君の家だ!お前知らんだろうが、浅井君んとこはヤクザだからな。僕もタダじゃ済まないだろうがお前はもっととんでもなくタダじゃすまないぞ!

 

と宣言した所で暗転。夢は終わっている。

 

夢日記 ①

二つ見た。

最初の方は観念的で必要事項を述べるだけのような単調な(それでも夢の中のわたしはひどく狼狽えて)夢であった。

実家に戻っている私。自室から和室へと襖を開けると大きな蜂が飛んでいる。どうやら、私の存在には気づいておらずフラフラとゆっくり天井の少し下辺りを遊回している。私は、蜂が心底怖いので急いで戸を閉める。そして、ただ単純な恐怖と奴を見失ってはいけないのと駆除の手立てと同時に考えてあたふたする。兎に角、見失ってはいけないと襖を数センチほど開け蜂を見つめながらその他の急務について考えを巡らす。自室にはまず駆除に適したスプレー、それに類する物が一切なかった。弱った。自分がこれからあり合わせの鉾や盾で自分の上を悠々行く蜂を目がけて奮闘しようとして挙句背後を取られてチクリと首元を刺される所を想像した。頭の中で蜂の顔面の拡大図とあの機微な偵察を証するがごとく羽音が頭の中で鳴り始めた。途方にくれた。

夢日記 5月26日

嬢王というドラマに入り込んでいる。

これは撮影シーンというわけでもなくドラマそのものを観ている私が同時に演じ手でもあるようだ。

隣には某AV女優。私は豪華なリムジン車に乗っており乗客は他にも複数人いるが皆嬢とその上お得意様といった模様。

私の隣の駆け出し嬢役の某AV女優が猫なで声で悩みを私に打ち明けていて私は内心台本読んでないから台詞知らないけどどうしよう…。とかなり焦っていたがとりあえず相手の顔色を見ながらその場の状況や彼女の台詞に見合った返しを素人なりに考えて返答してみた。すると難なく上手くいく。

リムジンは某タワーマンションに到着。皆、男女ペアで足早にそこに吸い込まれていく。私も嬢と一緒にマンションに入る。僕が絶対に君を一位にしてあげるから安心して!

嬢はまた猫なで声で嬉しい〜!頼りにしてますーと答え

二人はマンションのエントランスに入っていくバックショットでシーンが変わる。

 

何のことはないそのマンションの一室では乱行パーティが開かれていた。私はなぜか何も知らない童貞の大学生みたいなウブに変わっていた。薄暗くうすら寒い部屋であちこちに裸の女が牧場の牛のようにけだるそうに寝転んでいる。ちょっとヤバイなと感づいたが今更逃げられない。奥の部屋からは、行為に及んでいる事が分かるくらいのかすかな男女の声が聞こえた。私は隣の女と話をしていた。歳は私より大分、上にみえた。何を話していたのか、というより呂律があまり回っていなかった。

こちらの部屋にいた何人かの女が奥の部屋の扉をこちらに見えるように開け放った。何と奥の部屋の犯されている女はさっきのシーンでは私のお気に入りの駆け出し嬢だった。男の方は肩に刺青を入れており身体は中肉中背なのだが所々、筋肉がしっかりついてる様にみえる妙な体型だった。私の中ではすぐにヤクザの幹部だろうと思えた。

奥の扉が開いた事でひやかしたりヤジを飛ばしだす女。程なくして感化されてこちらの部屋でも皆手近な相手と混ざり合う。私も隣の相手にいきなり舌を入れられた。女の舌にはなぜかイボみたいなものがあって私は咄嗟に変な病気を持ってたら嫌だなと思ったのだが何もせずそのままにした。しかし、さらにおかしな事に女の口内と舌には温度がなかった。いくら舌を絡めあってもひんやりとしたままで気持ちが悪くなったが、相手の女はとろんとしている。というか、始終ずっととろんとしているのだ。

シーンが変わり翌朝。

私がそのマンションで目を覚ますと周りには誰もいない。散らかった食べ物と酒が散在するだけ。起きてあちこち扉を開て点検するがいない。もう皆んな起きて帰ってしまったのか。しかし、昨夜の記憶が途中でなくなっている。とにかく、こんな所に長くいるわけにはいかない。もしかしたら誰かが帰ってくる可能性もある。早いところ持ってきた荷物をまとめて出よう、、、、と荷物をまとめているとマンションの一室が高校生の修学旅行の為の観光バスに早変わり。私が、がそごそと荷物をまとめていると観光を終えた学生たちが乗り込んできた。私には見向きもせず方々で賑やかな会話をしながらあっという間に座席についたかと思うと最後に運転手が乗り、遂には発車してしまった。

私はどこに連れていかれるのか心配になり急いで運転手に駆け寄った。が、運転手の顔は恐ろしい形相だった。まずとにかく大男で目は真っ赤に充血していて身体中から黄土色の汗をかいていた。

私は面食らったがとにかくここで降ろして欲しいと言った。

しかし運転手は扉が閉まった以上次に降りられるのは次の目的地だ、と怒鳴った。それから何度か毒ガエルみたいなこの大男と口論を続けたが私の方が折れた。

とぼとぼと学生がいる席の間の通路にしゃがみ込み俯いていると隣の席の学生が私に向かって

よう、○○!元気?と言ってきた。

何のことはない。こいつは大学時代、同じ男子寮に住んでいた友人だった。

 

 

 

夢日記 5/24

何かの仕事で塚口駅を利用。その仕事終わりで飛び込みで髪を切る事にした。商店街のちょっとしたビルの二階に美容院はあり、内装は木を基調とした造りで席は2つと少なめ。受付を済ませ病院の待合によくある長椅子に腰を下ろし順番を待った。が、中々呼ばれない。ようやく呼ばれたら一人の美容師が「そこのネット自分で被って待ってたらもう少し早く出来たのに。早くそこに座って!」とこちらを見ることもなく忙しそうにそう言った。

私は面食らってしまったが、とりあえず言われた通りに椅子に座ろうと椅子に手をかけ、腰を下ろす瞬間にキレてしまった。

さっきの美容師はまだ何か忙しいことを背中で私に主張し続けていたが、その背中に向かって大声で怒鳴ってこっちへ来い呼びつけた。

怒った内容については覚えてないが、何故か私が呼びつけた場所は東京タワーとかにある床がガラス張りで透けて見える所で、烈火の如く怒り狂っていて暫くは気づかなかったがふと下を見てしまい、急に怒りが覚めてしまった。その事はよく覚えている。

その後、美容師は特に謝るそぶりもなかったのだが私はその怒りを当初はカットのみだったのに加えてパーマを追加してやるという謎の矛先に怒りを向けたのだった。

さあやれ!やってみろ!と暴君気取りで髪を切られていたのだが、途中で財布が気になりだす。

3000円しか持っていない事に気づく。店の入り口に木の看板で出来た料金表がある。横目でちらちら見てみると始めてスターバックスに訪れた時の見慣れないサイズ表記みたいな、謎の文字がよく見慣れているカット、パーマ、眉カットと書かれた下に括弧付きで書かれている。どれも片仮名三文字でよく思い出せない。

私は焦り出した。カットだけで2900円と書いていて括弧内のカタカナは恐らくオプション的なアレに違いない。だとすればパーマは無理だ。早急に断らなければ。しかし、あんな暴君ぶりを発揮したあとだし、私はそれを継続中だし、この腐れ美容院を後にするまでは決して暴君をやめるつもりはない。髪を切り終わったら正直に話してコンビニのATMまで走って精算を待ってもらうか?いやそれは暴君の行動ではない。見ようによってはただの使いパシリだ。

困った困ったと内心かなり焦りながら脂汗を垂らし髪を切られている夢でした。

 

 

2つめ。

これは短く暗示的な方。

蜘蛛を殺した。

夜中蜘蛛が私のベッドの枕の脇に向かって降りてくるのを確認した。確認できたのは丁度その時読書をしていたから。私の部屋には読書灯というような気の利いたものはないため、大体片手にスマホを持ちその光を本に当てながら読み進める。だが、たまに読書に飽きると暗い部屋を点検するように自室を何となく照らしてあちこち見るのだ。特に意味はない。その折に蜘蛛を見つけた。蜘蛛は決して小さくはないが大きすぎる事もない。手でオッケーサインを作った時の丸の中に入るくらいだ。私はかなり焦った。周りに潰せるものを探しながら、かつ所在を見失わない様にスマホで照らし、という状態だったが、何故か鍋つかみを取って振り向いたら蜘蛛は着地するや否やすごい速さで地面を走り出した。見失った。私は臨戦態勢である。ほとんど瞬きもせず蜘蛛の侵攻経路を推測し目星をつけ待ち伏せた。

するとあっさり蜘蛛は目の前から現れ何故かさっきまでの素早い動きは嘘の様にぴょーんぴょーんと間抜けな感じでこちらにジャンプしながら向かってくる。それでも私にはむしろ恐怖だった。9つの黒い目がしっかり見えて怖かったのだ。

 

その恐怖心のピークで地面についた蜘蛛を勢いよく鍋つかみで叩いた。するとどうだろう。変な声を出すのだ。例えるならスーパーファミコンドンキーコングに出てくる蜂のコークスがやられた時に出す声のもう一オクターブ高いような声だった。

何かを哀願するような声で間違いなくそれは命乞いであろう事はその時の私の頭には一つも浮かんではいない。余計に気持ち悪い要素が加わっただけで更に駆逐心を強固なものしただけだった。

結果、その後蜘蛛を2回叩いたが手応えはなく同じようにコークス哀願の声色で

私にぴょーんぴょーんと向かってくる。夢はもう一度鍋つかみで叩き声がしなくなった所で終わっている。しかし、潰れた手応えはない。